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大福帳 空虚∞space

通り雨

  • 2008/06/28(土) 18:54:49



雨が通り過ぎる
水たまりが道を塞ぐ
風が追いかける

とり残された者は
ただひとり
立ち竦む

そうして日は暮れ
なにもかもが
闇に融ける

雨は遠くに降り
風は追いつこともなく
水たまりは罠になる

何も思わない
何も悔いない
何も語らない

そうして日は暮れ
なにもかもが
闇に融ける

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すべてはうたかたに

  • 2008/06/07(土) 10:32:37



悩めば、答えは出るのか。
  苦しめば、倖せになれるのか。

一輪の野の花に、悩みはあるのか。
  湖底に潜む田螺に、苦しみはあるのか。

全てが、神の思し召しであるのなら、
  川の流れるままに、生きてあればいい。

悩むことも、苦しむことも、
  全て、川の泡沫<うたかた>と流し去ればいい。

ああ、せめて名も知れぬ草と風に震えていよう。
  ああ、せめて陽の届かぬ水底で孤独に黙していよう。

悩めば、ほんとうに答えは出るのか。
  苦しめば、ほんとうに倖せになれるのか。

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いくらこの道が

  • 2008/05/30(金) 11:31:41



いくら水をやっても
枯れるときは枯れるのか

いくら肥料やっても
朽ちるときは朽ちるのか

いくら日があたっていても
散るときは散るのか

いくら
この道が続いていても

いくら
この道が続いていても

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ふりかえらずみあげず

  • 2008/05/24(土) 13:25:12



ふりかえれば
雨がぼくを追いかけいてくる
過ぎ去った時間<とき>を洗い流しながら

風は向こうで戦<そよ>いでいる
何も運んではこない
新しい時間だけが確かにやってくる

みあげれば
重い雲が重なりあっている
いまある時間を窮屈に圧するように

桜の若葉になっていよう
花の散ったあとの
誰も見向きのしない

桜の若葉になって
時の流れにただ揺らいでいよう
枯葉となって朽ちるまで

ふりかえりもせず
みあげることもなく
ましてや前を見詰めることもなく

風に戦げよ
雨に震えよ
宙に漂えよ

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確かに平和なひととき

  • 2008/05/07(水) 08:31:57



何も考えぬひととき
春らしき日射しのつくる
淡い温かみの内
自己を全て無にして
やさしく揺らぐ時に
無意識に生きて居る

外部世界に
間断無く何かが
起こってあるだろう
生の悲劇あるいは喜劇
思わぬ生のドラマが
到る所に於いて

罪ある人々に
罪ない人々達に
涙や笑いや怒りや喜びや
孤独な思いや悲痛な嘆きや
色々な感情を
押しつけているだろう

しかし今
なんの思考も
肉体に有し得ない
ひとつの世界に生命を
生命だけを正しく生きて居る
そのことは確かに平和だ

何も有し得ないからこそ
平和以上に
平和なのだ
だからこそ幽かに哀しく
微妙に
孤独でもある

だからこそ
白々した
無味乾燥な視界が
ただ無意味に
静謐に
展がって在るだけだ

それでも今は
それでもそれでも
何も考えぬ
平和なひとときを
自己を全て無にして
生きて居ることを

不安ではあっても
どうしても手放せない
どうしても
どうしても
手放せない
心弱い私でも在るのだ

春らしき日射しのつくる
温かみの内
指をひとつひとつ折って
生命の時を
数えて見ようかとも
思っているだけで

ただもう
今はただもう
茫然として居ようと
朦朧とした意識の内で
決心だけが冷めて
在るだけだった

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空虚の闇

  • 2008/05/05(月) 09:07:49



自分自身が空虚しいと
そう思うとき
全てが白々として
闇は私に話しかける

無言の闇の中に
埋もれていたい

何も彼も
ただ白々としていて
語りかける
一片の言葉すらもない

ひとり聴いているだけ
闇の独り言

それは
自己の内部深くに語りかける
音も声もない
とげのある語りかけ

生きる!
空虚しい自己への声

ああ全てよ!
私はひとり生きてはあるけれど
この闇の中に
いつまでも埋没はしない

今はただ闇を聴いていよう
空虚な自己を闇で満たしておこう

自分自身が空虚しいと
そう思うとき
全てが白々として
闇は私に話しかける

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雨の音

  • 2008/03/30(日) 14:11:07



心の置き場もない日の
雨の音は
妙にうつろだ

ひとりの心は
水溜りの波紋に彷よい
ひとりの心は
水溜りの波紋に漂よい

雨の音は
妙にうつろだ
あまりにうつろすぎる

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