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大福帳 200803

平凡な日常

  • 2008/03/31(月) 20:33:11



私は今、平凡だ。
胸を酸っぱく締めつける感動も
感動感激で、声を詰まらせるような感想も
随分の昔に置き去った。

私は今、とても平凡だ。
日常というものが一定の律動感で支配され
想い思うことも昔の甘美な思い出ばかりなら
人々に言うことも、昔の言葉と言い回しそのものだ。

そして私は今、とにかく平凡だ。
だからなんだろう、とっても日々の経つのが速すぎて
年老いて行く過程が加速度的で
日常と抽象的世界を具体的に浮游している。

だからと言って私はこの平凡さを
とてつもなく不幸だとも思わなければ
あえて甘受しようとも思いはしない
ただこれが日常であり、人生であり、私であり

ただこれが、私の日常であり
ただこれが、私の人生であり
ただこれが、
今の私に過ぎないのか。

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遠吠え

  • 2008/03/31(月) 08:39:10

あれは風の音のようだが
本当は、そうじゃない。
風の音なんかじゃないのです。
あれは(あれは)
遐い昔に
故里なくしちまった
犬の遠吠えさ。
悲しい哀しいと
泣くにもなけぬ
やせさらばえた野良犬の
身を切り刻む
音なのです。

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雨の音

  • 2008/03/30(日) 14:11:07



心の置き場もない日の
雨の音は
妙にうつろだ

ひとりの心は
水溜りの波紋に彷よい
ひとりの心は
水溜りの波紋に漂よい

雨の音は
妙にうつろだ
あまりにうつろすぎる

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無邪気なほほえみ

  • 2008/03/29(土) 10:04:08



澄んだ空間に
うすむらさきの光りに
ほほえんでしまう

無邪気に
無邪気に?
ほほえんでしまう

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いつもの淋しい夜

  • 2008/03/28(金) 08:54:59



淋しいよ淋しいよ
きみがそばに居ないと
淋しいよ
支柱がぽっきり折れて了って
ぼくは切なく
それはそれは淋しいよ淋しいよ
だからぼくは
嫌いな酒を浴びるほどに呑んで了う
目が廻るほどに
地球の自転を我が身に採り入れて了うほどに
淋しいよ淋しいよ
それはそれはほんとうに
淋しいよ
淋しいよ

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もうすぐきみに

  • 2008/03/27(木) 19:52:36



もうすぐきみにあえる
もうすぐだ
ぼくはきみといっしょに
ばんごはんをたべるのだ

悲しいほどに美しい夕焼けをみたあとで
ほろほろとこころおだやかに
ぼくはきみとむかいあって
おだやかなひとときをすごすのだ

もうすぐきみにあえる
もうすぐきみにあえるのだ
それはなんとこころせくことか
それはなんてしあわせなことだろうか

もうすぐだ
もうすぐきみにあえる
ぼくはきみにあえる
きみはぼくにあえる

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通勤電車

  • 2008/03/27(木) 12:09:03



電車の扉が開くと急ぎ足
かなしいかなしい急ぎ足

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朝の風

  • 2008/03/26(水) 08:51:17



雨降りあとの風は
風は懶<ものう>げに
走り抜けていく
急ぎいそぎ
さよなら good-bye と
走りはしり
走り抜けていく

鈍い陽光と
腐蝕した
雲ばかりの空と
雨降りあとの空気とに
さよなら good-bye と
走りはしり
走り抜けていく

風は哀しげに
振り返りもせず
ただ真直ぐ
まっしぐらに
さよなら good-bye と
走りはしり
走り抜けていく

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星月夜

  • 2008/03/25(火) 09:08:43



ひろおーい、ひろおーい、のはらののっぱらで。
しぃーんと、しぃーんと、よるはいきをしております。
ひとりのぼくは
ひとりきりのぼくは
星月夜をみているのです。
ああ、そうです。
星月夜だけをみているのです。

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悩み

  • 2008/03/24(月) 15:29:53

軽やかに
  かろやかに

日々の思索は軽やかに
  白い子犬の尾の振り
    流れる綿雲のためいき

それよりも軽やかに
       かろやかに

すべてのことに対して
すべてのひとに対して

さらりさらりとせせらぎの
ひらりひらりの紙飛行機の
  軽やかさ かろやかさ
    人畜無害の軽やかさ!

軽やかに
  かろやかに!

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私は生きている

  • 2008/03/24(月) 10:53:46



我々は人間であった。
そして私は人間であった。
それは私の大きな哀しみに相違なかった。
死ぬ以外に私の生はない。
然し私は死ねなかった。
死が怖くて仕方なかった。
皆ないまを精一杯生きている。
そして私も生きている。

人が生きる。
この言葉は私を恐怖の深遠に陥れる。
人が生きる。
地球のありとある所、
人の居る所で、人々夫々の人生を生きる。
私は、今の私の人生しか知り得ない。
他の多くの生きている人々の人生とは、
全くの没交渉なのだ。
それが、哀しくて仕方がない。
彼等は精一杯、力一杯、その日を送っているだろう。
生きるための努力を、毎日行なっているだろう。
それが哀しい。
私は、その恥ずかしさの余り、
私のうちに、無力、無意味生を有すが故に、
彼等の前に在っては、曖昧な笑いしかできず、
心は赤面し、
血は逆流し、
心臓は破裂するに違いない。

彼の地でも、矢張り人は生きている。
何処の地でも、人は生きている。
生きねばならぬと決意し、
誰も彼もが生きている。
運命にもてあそばれ、
僅かな生にすがりつき、
我が身を責めながら、
さまよいさまよい、
生きようとして生きている。
そして私も今生きている。

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また再びの春

  • 2008/03/23(日) 10:48:22



また再びの春

また再びの春です。
年ごとに巡り還る春は、私の春です。
あの日、一日に燃えた幼い愛は、
小さな化石に定着されては還ることもない ―― 。
きょうこの日の私、煌めく愛への憧憬を、
春の大気にスパイラルさせて ―― 。
大人の愛への新たな出発です!

「野にはなんの花?
 れんげれんげの ――
 野には何の花!
 れんげれんげの ――
 れんげれんげの花絨毯です!」

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何処の空に

  • 2008/03/22(土) 21:27:24



何処の空に
   愛は煌くのか
   私の人生は輝きを見せるのか

何処の空に
   私は舞い上がればいいのか
   力一杯 精一杯!

何処の空に
   一直線の視線を
   私は放射すればいいのか

何処の空に
何処の空に
   愛は在ると
   私は在ると!

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珈琲

  • 2008/03/22(土) 09:02:35



どうすることもできない
うつろな悲しみや寂しさを
温かそうな珈琲に注ぎ込んでは
スプーンからからしてみると
琥珀色の霧が私を包み
私は僅かな安らぎを得て
ほほえんでしまう ――

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好きと言ってみる

  • 2008/03/21(金) 23:10:27



好きと言ってみる
あたりを見回してから
小さな声で
好きと言ってみる

夜の空気がやさしく揺れて
闇も次第しだいにやわらかくなる

好きと
もういちど言ってみる
眠りの天使も舞い降りてきて
ぼくは穏やかに
幸せの夢の世界へと ――

好きと言ってみる
もういちど
好きと
言ってみる

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幽霊

  • 2008/03/21(金) 15:19:41



泣くのはおやめ
風にしかられてしまうよ
ぼくの背中に
さあ
おいで
お日様が雲に隠れてしまうよ

なぁんてきみは軽いんだろ
背中で風が
囁いているみたいだよ

泣くのはおやめ
風にしかられてしまうよ
泣くのはおやめ
ぼくは眠ってしまうよ

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C62

  • 2008/03/21(金) 09:21:47



走りたくなくても
石炭くべられたら
哀しい哀しい
しゅっぽ
  しゅっぽ
    しゅっぽっぽ

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  • 2008/03/20(木) 21:35:16



きみは赤いワインを好むだろう。
僕は黒いセーターを着たいと思うのだ。
すると全ては、
暗闇の中で思い想いの顔をする。

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あなたの

  • 2008/03/20(木) 08:46:48



あなたの笑顔はうつろで
あなたの心に嘘ばかりついてしまう
あなたの瞳は楽しげで
あなたの心に演技ばかりをおしつける
あなたの黒髪は魅力的で
あなたの心に愛も求められない

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雨の京都

  • 2008/03/19(水) 08:48:47



雨の京都の寺巡り
何処かでこっぽりの音のからからと
ましろな顔に紅い小さな花咲く
舞妓さん
蛇の目をちょんとさして
とことこ歩いて来ます
小さな坂道を
きょうは雨の京都の寺巡り

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白い風

  • 2008/03/18(火) 13:01:21



私の心は、風が白い。

私の海は、ただ静かだ。

蒼い月が、在れば在り、

私の心は、風が白い。

どうしてこうして私は、

こんなにも空しく哀しい海を、

想い浮かべようとして、

うすら寒い涙を流しているのか。

私の心は、しかし、

風が白い。

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春になれば

  • 2008/03/17(月) 22:03:06



一人歩けば街の雑踏も何故か哀しく、
遠いことのように、あなたが思い出されます。
愛して愛されて、抱いて抱かれて、
気がつけば、あなたの心をなくした私。
何が悪いの、何がいけなかったの、
何が悪いの、何がいけなかったの、
愛に尽くした日々がただ懐かしい、
今は風も冷たい冬だから、
春になれば、春になれば。

行き交う人の表情のない波に流され、
過ぎて今はない、あなたの愛を捜します。
愛して愛されて、嫉妬<や>いて嫉妬かれて、
気がつけば、あなたの肌をなくした私。
何が悪いの、何がいけなかったの、
何が悪いの、何がいけなかったの、
肌と肌の温もりがただ懐かしい、
今は星も寒い冬だから、
春になれば、春になれば。

何が悪いの、何がいけなかったの、
何が悪いの、何がいけなかったの、
男と女の溝もただ懐かしい、
今は心枯れる冬だから、
春になれば、春になれば。

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もう、それは。

  • 2008/03/16(日) 22:04:22



もう恋の歌は歌えないのか。
もう愛の物語は語れないのか。

日の出があって、日の入りがあって、
その繰り返しが、地球にはあるというのに。

もう恋の歌は歌えないのか。
もう愛の物語は語れないのか。

日の出があって、日の入りがあって、
そして、それは、人生には一度きりに過ぎない。

それなのに、もう恋の歌は歌えないのか。
それなのに、もう愛の物語は語れないのか。

恋より、心昂ぶる歌があるというのか。
愛より、鼓動の高まる物語があるというのか。

それなのに、もう恋の歌は歌えない。
それなのに、もう愛の物語は語れない。

そして、夜は明け、そうして、日は暮れる。
そして、日は沈み始め、そうして、夜陰が訪れる。

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行き暮れて

  • 2008/03/15(土) 22:24:10



もはや、
行き暮れて、途方に暮れて、逆さ三日月。
立ち停まって、跫音失くして、雲も佇むばかり。

己を問え。
過去を振り切れ。
明日を凝視めろ。

静寂を風が切る。
冷えた夜気を街灯が照らす。
ときたま行き交う人は無言に俯く。

何処へ行けばいいのか。
此処に立ち竦んでいればいいのか。

何も考えるな。
何も悩むな。
何も思い込むな。

月の光はここには届かない。
風が時折遠くの会話を運んでくる。
人は思い思いに息をする。

そして、
行き暮れて、途方に暮れて、逆さ三日月。
立ち停まって、跫音失くして、雲も佇むばかり。

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雨はしとしと降りまする

  • 2008/03/14(金) 12:00:39



雨はしとしと降りまする。
冬の朝からしとしと降りまする。
木々はまっすぐ耐えていまして、
耐え切れぬときは枯葉ひと葉落しまする。

雨はしとしと降りまする。
冬の朝からしとしと降りまする。
人の行き交いも途絶えがちに、
私の行方もかすむばかりでございまする。

雨はしとしと降りまする。
冬の朝からしとしと降りまする。
小鳥も鳴かず烏さえ飛ばず、
間近く飛行機の爆音だけが響きまする。

雨はしとしと降りまする。
冬の朝からしとしと降りまする。
いつまで降るのだろうかと、
ただぼんやりと思案の揺籃でございまする。

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午前2時の物語

  • 2008/03/13(木) 10:27:04



気がつけば、あなたの部屋のドアの前
息が白い、午前2時
ふとかすめたあなたの笑顔
それを確かめたくて、午前2時
星の凍てつく夜空の下
わたしはやってきたの、
哀しさに染まるこの心
抱きしめてくれるかしら、あなた
あなたとわたしの午前2時

思えば、あなたとわたしなんでしょうか
愛のかすむ、午前2時
ふとよみがえったあなたの匂い
それに誘われて、午前2時
もてあそばれてもいいから
わたしはやってきたの、
切なさにくれるこの心
暖めてくれるかしら、あなた
あなたとわたしの午前2時

ほんとは、わたし、あな人の代わり
わかってるの、午前2時
あなたの淋しげな笑顔
慰めてあげたい、午前2時
こんなわたしでいいのなら
わたしはやってきたの、
愛しさにぬれるこの心
振り向いてくれるかしら、あなた
あなたとわたしの午前2時

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おやすみ

  • 2008/03/10(月) 11:28:13



おやすみ、おやすみ、おやすみ。
こよいも、夜はこんにちは。
それなのに、それなのに、それなのに。
こよいも、おやすみのときが来た。
おやすみ、おやすみ、おやすみ。
ひとりねは、きっとさみしいけれど、
こよいも夜はふけたゆえ、
おやすみ、おやすみ、おやすみ。
それでは、ほんとに、ほんとに、おやすみ。

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どうしての裏側

  • 2008/03/08(土) 10:40:16



どうして、素直になれないの。
自分の心がとってもたいせつなら、
どうして、素直にならないの。

どうして、そんなに拗ねているの。
人に愛されないからといって、
どうして、そんなに拗ねてみるの。

どうして、泣いているの。
哀しさなんて心の栄養にならないのに、
どうして、泣かされているの。

どうして、そんなに我がままなの。
あの人に振り向いて欲しいからといって
どうして、いつも我がままなの。

どうして、ひとりぽっちになるの。
孤独が好きでもないのに、
どうして、ひとりぽっちにされるの。

どうして、心の裏側を見たいの。
見たところで、どうしようもないことなのに、
どうしても、心の裏側を見たいのね。

それが、すべての寂しさの根源であり、
それが、いつもの空しさの源泉でもあり、
それが、決して癒されないことを知っているのに。

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失くすこと

  • 2008/03/04(火) 08:36:40



何かを、失くした。
そう思ったとき、
寂寥だけが残っている。

失くすことは、
得ることよりも
大きな事件であることには間違いない。

さればこそ、
失くさないことの気配りこそ、
寂しさから逃れるひとつの手段ではある。

しかし、
それは自己を持つ人間にとって難しく、
寂寥は恒に隣り合わせに在る。

逃れられないのだ。
決して、
逃れられないのだ。

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