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大福帳 200805

曽根崎心中(玉男と簑助の徳兵衛とお初に)

  • 2008/05/31(土) 08:46:43



曽根崎心中1(そねさき)

添い遂げられず
涅槃に往けず
さまよう森で
きっと結う


曽根崎心中2(しんぢう)

しんそこほれた
んじゃ仕方ない
地獄の果てで
請け出さん


曽根崎心中3(相生座では美濃助<みのすけ>)

簑助とても
望み叶わず
すでに玉男は
けさの露


平成20年5月31日
相生座で簑助師
玉男師のいない曽根崎心中を遣う。

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いくらこの道が

  • 2008/05/30(金) 11:31:41



いくら水をやっても
枯れるときは枯れるのか

いくら肥料やっても
朽ちるときは朽ちるのか

いくら日があたっていても
散るときは散るのか

いくら
この道が続いていても

いくら
この道が続いていても

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はもちり(葉も散り)

  • 2008/05/29(木) 08:05:19



肌もあわせず

燃えることなく

散れというのか

凛の花

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揺れる僕

  • 2008/05/28(水) 08:28:31



まわるまわる
地球は回る
ながれるながれる
星は流れる
ひろがるひろがる
宇宙は拡がる
いつまでも回る
いつでも流れる
どこまでも拡がる

あるくあるく
人は歩く
はたらくはたらく
人々は働く
ゆれるゆれる
僕は揺れる
どこまでも歩く
いつでも働く
いつまでも揺れる

いつまでも
いつでも
どこまでも

どこまでも
いつでも
いつまでも

僕は?
僕はゆれる
僕は揺れるだけ

ただゆらゆらと
地球の回転の中で
僕は揺れるだけ

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あるとまどい

  • 2008/05/27(火) 10:37:20



ぼくは、スリッパだ。
スリッパは、ぼくではないが
ぼくは、スリッパだ。
どうしてそうなのか。
それはわからない。
ふと気付けば、ぼくはスリッパだった。
しかも、トイレの片隅にあるスリッパだった。
だれも使いはしないスリッパだった。
いつからそうなのか。
ぼくがぼくである以前からそうなのか。
ぼくがスリッパであると
自覚したときからそうなのか。
そんなことはどうでもいい。
ぼくはスリッパなのだから
トイレの片隅にあるスリッパなのだから
もう、それでいいのだ。
それが事実なのだから
それで、いいではないか。
ぼくが、スリッパであることが。
スリッパは、ぼくではないけれど
ぼくが、スリッパであることは。

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どこかで

  • 2008/05/26(月) 09:21:17



どこかで、風が鳴っている。
どこかで、雲が迷っている。
どこかで、雨が泣いている。

いまここには、ぼくがいる。
いまあなたは、どこにいるのだろうか。
いまここには、ぼくだけがいる。

どこかで、朝日が昇ろうとしている。
どこかで、お日さまが立ちすくんでいる。
どこかで、夕日が沈もうとしている。

いまここには、だれがいるのか。
いまここには、ぼく以外にだれがいるのか。
いまここには、だれもいないのか。

どこかで、風は波を送り、
どこかで、雲は日差しを遮り、
どこかで、雨は全てを流し去っていた。

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ふりかえらずみあげず

  • 2008/05/24(土) 13:25:12



ふりかえれば
雨がぼくを追いかけいてくる
過ぎ去った時間<とき>を洗い流しながら

風は向こうで戦<そよ>いでいる
何も運んではこない
新しい時間だけが確かにやってくる

みあげれば
重い雲が重なりあっている
いまある時間を窮屈に圧するように

桜の若葉になっていよう
花の散ったあとの
誰も見向きのしない

桜の若葉になって
時の流れにただ揺らいでいよう
枯葉となって朽ちるまで

ふりかえりもせず
みあげることもなく
ましてや前を見詰めることもなく

風に戦げよ
雨に震えよ
宙に漂えよ

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花一輪

  • 2008/05/23(金) 07:43:42



花が咲いている
白い花が
ただ一輪咲いている

空は五月晴れ
青さがまぶしい
雲は薄く掃いている

凛と真白に
花は一輪
空を見上げて咲いている

いつかは花弁を
土に還す日が
やっては来るだろう

でもいまは
凛々しく可憐に
ただ一輪咲いている

五月晴れの空の下
真白に真直ぐに
咲いている

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とおい昔の初恋

  • 2008/05/22(木) 09:39:36



とおい昔の初恋は
いつまでたっても
初恋のまま。

とおい昔の初恋は
いつでもときめき
運んでくる。

とおい昔の初恋は
いつのまにか
きらめく思い出。

とおい昔の初恋は
いつまでもいつまでも
五月の風。

とおい昔の初恋は
いつのまにか
さよならの彼方。

とおい昔の初恋は
いまもやっぱり
初恋のまま。

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朝日が満ちる

  • 2008/05/21(水) 07:53:16



朝日が空に満ちる。
五月の空に満ちている。

ぼくは爽快になる。
今朝のぼくはあの日の少年だ。

風ひとつない。
雲もないようだ。

小鳥がさえずり
そして飛び去っていく。

ぼくの視線は小鳥を追い
ぼくの思考は連れ去られていく。

愛する人がそこにいる。
愛する人との時間がそこにある。

きょうこの日が
ささやかな幸福に

きょうこの日が
ささやかな幸福に祝福され

夕日が赤く沈むことを
ぼくは願う。

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愛するよりも

  • 2008/05/20(火) 08:27:56



愛するより

愛されたい

それがかなうのなら

いつだって

愛することができる

愛されたいから

愛することは

もうつらい

愛されたい人にだけ

愛されたい

そうすれば

愛されている間だけ

愛することができる

だから

愛するよりも

愛されたいと

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緑茶のしあわせ

  • 2008/05/19(月) 07:50:10



朝の目覚めに
熱い緑茶が似合う
そんな年輪を
いつの間にか重ねてきた
知らず知らずに

いつのまにか
自分なりの家族ができ
自分なりの家庭がある
そして目覚めには
緑茶が湯気を立てている

これが倖せというのだろうか
過去の悲喜交々を
年輪のすきまに
埋め尽くしたままにして
これを倖せというのだろうか

やがても緑茶は
湯気を失くし
朝の騒音が増し
倖せのひとときが
朝の大気へと融けこんで行く

朝の目覚めには
熱い緑茶が似合う
そんな年輪を
いつの間にか重ねてきた
知らず知らずに

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きょうは運動会

  • 2008/05/18(日) 10:52:43



きょうは
五月晴れに恵まれて
運動会
走れ走れゴール目指して
投げろ投げろ空高く

みんな力あわせて
オーエス
みんないっしょに
オーエス
オーエス

家族も先生も
応援席も
視線合わせて
がんばれ
がんばれ

家族も先生も
応援席も
大きな声で
がんばれ
がんばれ

こどもたちの一生懸命に
一喜一憂
こどもたちの一生懸命に
喝采拍手
笑顔と歓声

ああ毎日が
こうだったらいいのに
日本中が
きょうの運動会のようだったら
ほうとうにいいのに

家族もひとつに
生徒も先生もひとつに
みんな
ひとつになっている
ひとつになっている

五月晴れに恵まれて
きょうは運動会
走れ走れゴール目指して
投げろ投げろ空高く
ちからいっぱいひとつになれ

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どこかでだれかがうたっている

  • 2008/05/17(土) 10:37:29



どこかで だれかが うたっている
なんの歌だか
しらないけれど
どこかで だれかが うたっている

ぼくは
ぼくは?
歌おうにも 歌をしらない
ぼくは歌おうにも ちっとも歌をしらない

どこかで だれかが うたっている
たのしい声で 歌っている
なんの歌だか しらないけれど
あれは きっと よろこびの歌だろう

ぼくもなんだかうれしくなって
からだをはずませ じっときいている
ぼくもなんだか とてもうれしくなって
じっとじっときいている

どこかで だれかが うたっている
こころよい声で やさしいメロディで
なんの歌だか しらないけれど
どこかで だれかが うたっている

うたっている
うたっている

うたっている
うたっている

ぼくは
ぼくは?
歌おうにも 歌をしらない
ぼくは歌おうにも ちっとも歌をしらない

それだから
ただもう
じっと じぃっと
その歌を きいているだけです

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五月の風

  • 2008/05/16(金) 07:39:03



通り抜けて行く風は緑色をしている
芝生の上で大の字にねころんで
晴れた空を見詰めていると
涙もにじんでくる

さわやかそうな風に乗って
新緑のかおりも通り過ぎていく

いつのまにか
ぼくも
おとなになってしまった

きのうまでのぼくは
広い
青いグラウンドを走り回っていたような
気もするのだが

ぼくは気だるい伸び切った肉体を横たえて
偽りのような青い空を見詰めている

新しい風が
走り抜けて行く
ぼくの硬化しつつある肉体の上を内<なか>を
新しい風が
新しい風が
駆け抜けて行く

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黒点

  • 2008/05/15(木) 08:40:39



ひとつの黒点
視野に拡がる
ひろがる
頭がもうろうとし
己しか見えない
何も彼もが
沈澱し
ひとつの黒点のみが
頭痛に変じ
己すら見喪われる
風が
冷たい風だけが
感ぜられる
それしか
生きている今の
実感のない
無意味で
自己嫌悪の
いやあな
いやあな
利己の世界
涙が欲しいと思う
利己の世界
ああ!

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僕の愛は

  • 2008/05/14(水) 08:34:56



僕の愛は
  不変である
この生命に
  高らかに宣言する

  僕の愛は屹度
不変である
これは僕だけの愛
  誰にも分かり得ぬものだけど

これが確かに僕の愛であり
  ただひとりの人間に
  与えていかんとする不変の
愛である

ただもう
  ひたすらに僕は愛する
愛するだけで
  愛するだけでぼくは倖せだ

だから誰にもこの僕の愛を
  わかってほしいとは望まない
僕自身だけが
  僕の愛を信じていればいい

僕は信じる
  僕の愛を
  僕の不変の愛を
ただ僕は信じる

それが僕の今の生であり
  それが僕の今の全てである以上
僕はただひとりの女を
  ずっとずっと愛するのだ

それだけでいいではないか
僕が僕の愛を信じているだけで
それで
ただそれだけでいいではないか

僕の世界
僕だけの世界
僕の愛
僕だけの愛

それが全てだ
  僕の
  全てだ
僕の

だからもう最早
だれにも求めはしない
僕の愛は
僕だけの世界でいいのだ

僕の愛は不変だ
屹度屹度不変だ
僕の愛こそは
不変である

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私個人の問題

  • 2008/05/13(火) 09:10:53



灯りの無い部屋に
何も不安は無い

生存を宿命と考えるよりは
問題はただ私の存在だけなのだ

この世界に幾多の人々の生存
そして生活

それらを
考えることはない

私個人の問題は
今この時の流れ中に在るだけなのだ

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早春

  • 2008/05/12(月) 09:27:25



最早、冬は終わりの時と、
朝、目覚めればそう思いたい。
陽だまり、青い空。
海では風は未だ冷え冷えと走っているのか。
それよりも、私の実感。
希望か、期待か。
陽だまりと青い空と。
春よ来たれ、花便りを携えて。
春よ来たれ、全てを忘れ去ろうとする
私のもとへ。
きらめくめまいと
ふぬけたあしどりと。
それよりも、ああ、
春よ来たれ、私のもとへ、
早々と。

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田舎の道では

  • 2008/05/11(日) 09:17:25



田舎の道では たんぽぽ れんげそ
田舎の道では きれいなきれいな
たんぽぽ れんげそ
たんぽぽ れんげそ

春の陽だまりに ひとり寝て
かぜに微笑うばわれる
春の陽だまりに ひとり寝て
空の向こうに きみ思う

田舎の道では
それはきれいな とてもきれいな
たんぽぽ れんげそ
たんぽぽに れんげれんげのれんげそ

風よ空よ歌よ
あの人の愛を運んで
私を 春の陽だまりのなかで
やすらかな眠りを

やすらかで
平和な眠りの中へと
おちつかせておくれ
私を 春の陽だまりのなかで

田舎の道では たんぽぽ れんげそ
田舎の道の 春の陽だまりに
たんぽぽ れんげそ
たんぽぽに れんげれんげのれんげそ

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私は眠れない

  • 2008/05/10(土) 09:31:01



何故、私は眠れないのか。
お前への愛 ――
そう信じてもよいのか。
お前への愛 ―― と。

全ては、今、闇の中。
何かもが、思考を鎖し、
ただ、ひたすらに、
お前への愛を。

こうも私は、
お前を愛してしまったのか。
眠れぬほどに、
お前を愛してしまったのか。

ああ、今夜はとても眠れない。
お前への愛を信じたいからか。
お前を愛しているという私を
信じたいからか。

ああ、そんなこと、
どうでもいいのだ。
ただ、私は、眠れないのだ。
ただ、私は、眠れないのだ。

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通勤電車は走る

  • 2008/05/09(金) 09:03:43



自己を忙殺する日々
それは 生活
私の確かな生活
日々自己を時間に乗せて
通勤電車は走る
磨耗されたレールの上を
私の生活は こういうものだと
揺られ揺られしながら
思いこんでしまう曇天の朝
神経は眠り続けて
生活だけが
春風の中で舞っている

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春だろうか

  • 2008/05/08(木) 07:42:29



春だろうか 最早
雪は融けて 海へと還った
北風は 冷えた空へと去ってしまった
今此処に 穏やかそうな青い空

今此処に なんて穏やかそうな青い 青い空
野原には 赤い花 黄色い花
何か喪われた真実は 土に埋もれている
踏みつけられ 踏みつけられ 埋もれている

春だろうか 最早
雪は融けて 海へと還った
北風は 冷えた空へと去ってしまった
今此処に 穏やかそうな青い空

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確かに平和なひととき

  • 2008/05/07(水) 08:31:57



何も考えぬひととき
春らしき日射しのつくる
淡い温かみの内
自己を全て無にして
やさしく揺らぐ時に
無意識に生きて居る

外部世界に
間断無く何かが
起こってあるだろう
生の悲劇あるいは喜劇
思わぬ生のドラマが
到る所に於いて

罪ある人々に
罪ない人々達に
涙や笑いや怒りや喜びや
孤独な思いや悲痛な嘆きや
色々な感情を
押しつけているだろう

しかし今
なんの思考も
肉体に有し得ない
ひとつの世界に生命を
生命だけを正しく生きて居る
そのことは確かに平和だ

何も有し得ないからこそ
平和以上に
平和なのだ
だからこそ幽かに哀しく
微妙に
孤独でもある

だからこそ
白々した
無味乾燥な視界が
ただ無意味に
静謐に
展がって在るだけだ

それでも今は
それでもそれでも
何も考えぬ
平和なひとときを
自己を全て無にして
生きて居ることを

不安ではあっても
どうしても手放せない
どうしても
どうしても
手放せない
心弱い私でも在るのだ

春らしき日射しのつくる
温かみの内
指をひとつひとつ折って
生命の時を
数えて見ようかとも
思っているだけで

ただもう
今はただもう
茫然として居ようと
朦朧とした意識の内で
決心だけが冷めて
在るだけだった

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あなたはカメです

  • 2008/05/06(火) 08:45:33



もしもしカメです
もしもしあなたはカメです

カメは世間が怖いから
自分がなぜか可愛いから
その首ひっこめます

甲羅の内<なか>へ
その首ひっこめます

灯りもなく
何も聴こえず
世間も見えなければ
手も握れない

真っ暗の甲羅の内
自分だけの世界へ

前にも進めない
後にも復れない

もしもしカメさん
もしもしそこのカメさん

ああこうして
こうして
きょうも暮れて行く
こうして
こうしてきょうも日暮れて

哀しくもありません
笑顔も忘れちゃいました

この甲羅の内が
自分だけの宇宙!
星もなければ
時間もない

ああもう
何でもいいんです
どうせカメですから
臆病な臆病なカメですから

もしもぉし
もしもぉし
モシモーシ
モシモーシ

立ちつくすこともできない
前にも進めない
後にも復れない
立ちつくすことも!

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空虚の闇

  • 2008/05/05(月) 09:07:49



自分自身が空虚しいと
そう思うとき
全てが白々として
闇は私に話しかける

無言の闇の中に
埋もれていたい

何も彼も
ただ白々としていて
語りかける
一片の言葉すらもない

ひとり聴いているだけ
闇の独り言

それは
自己の内部深くに語りかける
音も声もない
とげのある語りかけ

生きる!
空虚しい自己への声

ああ全てよ!
私はひとり生きてはあるけれど
この闇の中に
いつまでも埋没はしない

今はただ闇を聴いていよう
空虚な自己を闇で満たしておこう

自分自身が空虚しいと
そう思うとき
全てが白々として
闇は私に話しかける

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春に逢えた

  • 2008/05/04(日) 12:56:27



この道を歩くと
春に逢えた

私は思う
生きていてよかった ―― と

この道はさらに続く
新しい季節は

これからもいくどもいくども
私を訪なうだろう

そのたびごとに
私は ――

私は
生きていてよかった ―― と

やさしい頬笑みとともに
つぶやきたい!

この道を歩くと
私は春に逢えた

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信じて

  • 2008/05/03(土) 09:02:56



風の冷たさ信じて
歩いていきます
枯葉は舞って
ひとりの身に
涙がからんでくる
砂利道

つまづいてしまうよね
ころんでしまうよ

楽だね
ねころべば
誰も笑わなきゃ
死んじまうように
風の冷たさだけを信じて
歩いていきます

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幻想の五月

  • 2008/05/02(金) 10:39:31



ようやくの春を
実感として
とらえ切れないのは
ぼくが鈍感になってしまったからだろうか

嘘のような時間の流れの中で
追い求めた安らぎの季節は
ぼくの指先に確かに在る様だが
空虚ろな指先の感覚だ

あの女<ひと>は
れんげ畑の中を走ってくるはずだったし
あの女を追いかけて
白い蝶々も舞い飛ぶはずだったのに!

幻しの田園風景さえも
ぼくの肉体から
逃げて行ってしまった!

精神的鬱屈を形どったような
ビルディングの群れだけが
それはとても現実的で

ぼくの春は
狂気のような都会の空で
未だに凩に追いかけられているのだろう!

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何を歌えば

  • 2008/05/01(木) 10:26:17



何を歌えば
俺のこの心
充たされるんだ
風は冷たく
月は皓い

何を歌えば
今この時
俺のこの心
充たされるんだろうか
充たされるんだろうか!

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