
ようやくの春を
実感として
とらえ切れないのは
ぼくが鈍感になってしまったからだろうか
嘘のような時間の流れの中で
追い求めた安らぎの季節は
ぼくの指先に確かに在る様だが
空虚ろな指先の感覚だ
あの女<ひと>は
れんげ畑の中を走ってくるはずだったし
あの女を追いかけて
白い蝶々も舞い飛ぶはずだったのに!
幻しの田園風景さえも
ぼくの肉体から
逃げて行ってしまった!
精神的鬱屈を形どったような
ビルディングの群れだけが
それはとても現実的で
ぼくの春は
狂気のような都会の空で
未だに凩に追いかけられているのだろう!
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