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大福帳

それは風だった(私の人生・第2章)

  • 2008/08/23(土) 09:19:16



それは風だった
酸味と苦味が交錯する中で
自由気ままに吹き過ぎた
それは実体のない
不確かさだけが実存した
青色の風だった
過ぎ去ってしまえば
淡い幽かな後悔と
真白い花のような初恋と
悲喜交々あやおりにした恋愛とを
思い出として
残していくばかりだった

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海へ

  • 2008/08/20(水) 07:57:07



夕凪過ぎれば汐の匂い。
妙に絡みつく湿った風に、
心は悩ましい妖艶な夜も
知らぬ間に静かに訪れて
私は躰をもてあます。
熱い熱い躰をもてあます。

海へ、海へ。
誘われもせずに。
海へ、海へ。
夜は流れ星。

耳もすませば線香花火。
懐かしい思い出は走馬燈、
心羞じらう浴衣の裾の乱れ
浮かぶ白い肌も遠い夏。
私は躰をもてあます。
熱い熱い躰をもてあます。

海へ、海へ。
目的<あて>のないままに。
海へ、海へ。
夜は天の川。

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いのちのことわり

  • 2008/08/17(日) 10:49:23



花には花のいのちあり
草には草のいのち。

空には空のことわりあり
雲には雲のことわり。

海があって波が生まれ
海があって魚も貝も生きる。

人には人のいのちあり
ものにはもののいのち。

雨には雨のことわりあり
川には川のことわり。

山があって風が渡り
山があって虫も獣も生きる。

いのちはいのちとかかわりあい
いのちはいのちをうばいあう。
それがいのちのことわりなら
いのちは限りなく切なく悲しい。

いのちがあって生があり
生があって終わりがある。
それがいのちのからくりなら
いのちは限りなく儚く空しい。

花には花のいのちあり
草には草のいのち。

人には人のいのちあり
人には人の生がある。

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あのこの笑顔はあったかい

  • 2008/08/13(水) 09:40:51



あのこの笑顔はあったかい
とてもとてもあったかい
みかん色よりあったかい
あったかい
あったかい
ほんとにあのこの笑顔は
あったかい
とてもとてもあったかい
こころが和んできます
表情がやさしくなってしまいます
ああなんて
あんなにもあんなにも
あのこの笑顔
あったかいんだろ
あったかい
あったかい
あったかいんだろ
みかん色よりあったかい
みかん色よりあったかい
だからきっと
あのこの愛も
とてもとてもあったかいんだろ
ああほんとに
ほんとに
あのこの愛もあったかいんだ
あったかい
あったかい
あったかいんだ
あのこの笑顔は
とてもとても
あったかい
あったかい

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銀河

  • 2008/08/10(日) 09:31:28



銀河は、遐い、遐過ぎる。

あまりにも、銀河は、遐過ぎる。

でも、ぼくは。

真白いましろい小皿に

そのひとかけら

掬ってみたいと思っている。

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  • 2008/08/07(木) 10:14:36



海を見詰めていたい
ひねもす
ひねもす
波を送る海を
見詰めていたい
退屈なことかもしれないけれど
耐え切れぬほどのことでも
ないだろう
ひねもす
ひねもす
時を忘れて
海を見詰めていたい

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夏はとても暑かった(私の人生・第1章)

  • 2008/08/02(土) 12:11:04



夏はとても暑かった
ランニングと半ズボンで走り回っていると
せみの声が入道雲に響き
青い空は遠くに霞んでいた
午睡の静けさに
そよと微風が渡っていくとき
縁側の蚊取り線香は風鈴の音を聴いていた
ほたるが蚊帳のなかで
細い光りを帯に放ちながら漂い舞ったのは
つい先日のことだった
そうして夜は
あすのラジオ体操を待ち望んでいた
ああそうだ
そうですそうなんです
夏はとても暑かった
夏はとてもとても暑かった!
そうして少年は
時を忘れて飽くことなく
あの地蔵盆の夜に眺めていた銀河を
忘れはしない

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木陰

  • 2008/07/26(土) 13:32:56



木陰に入って
 汗を拭いて
木陰に入って
 空を見上げて
木陰に入って
 腰を下ろして
木陰に入って
 少し許りの
木陰に入って
 午睡をしよう
木陰に入って
 木陰に入って
木陰に入って
 少し許りの
  午睡をしよう

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